吉南商店会について
吉南商店会会長 永井康介さん
近隣の商店が集まって作る商店会。住んでいる人が日々の買い物をしたり、週末など街に遊びに来た人が店をまわったり、数多くの店が立ち並ぶ吉祥寺には20を超える商店会があります。
今日ご紹介する「吉南商店会」は、「イーストサイド」と名付けた吉祥寺大通りの東側、井の頭通りとJR中央線の線路にはさまれたエリア(LABI吉祥寺や吉祥寺オデヲンの東側)にひろがる商店などで作られた商店会で、現在115会員(取材時)が加入しています。
今年5月、地元で人気のラーメン店「洞くつ家」を手がける家主の永井康介さんが、商店会長に就任されました。長く商店会に関わっていらっしゃるほか、地域の消防団でも活動する永井さんにお話を伺いました。
−永井さんと商店会の最初の関わりは、いつ頃のことでしょうか?
もともと地元が吉祥寺で、生まれ育ったのは吉祥寺マルイの近くです。小さい頃は放っておいても1人で井の頭公園に遊びにいっていたようです。父親が「祥南会」(吉南商店会のお隣で、吉祥寺秋まつりに神輿を出す町会の一つ)結成時の初期メンバーだったこともあって、高校生くらいまではそちらのお祭に参加していました。
横浜のラーメン店で修行後、20代で末広通りにお店を構えた時に「このエリアの商店会と一生付き合っていこう」と決断しました。開業と同じくして商店会に入ったので、ちょうど今年で20年になります。
−会長になって、どのようなことに取り組まれていらっしゃいますか?
商店会では、メインの活動として日頃から街路灯や防犯カメラの設置・管理といった地域の安全安心の確保を担うほか、毎年恒例の地域のイベント「吉祥寺秋まつり」での神輿と縁日、今年から新たに始めた1月の「吉祥寺かるたイースト大会」、冬のイルミネーションや街のキャンペーン活動への参加、などを行っています。
就任してすぐ、担当者が一軒一軒回っていた集金を、振込や不動産屋さんに持ってきてもらう形に変え、プリントだった会員へのさまざまなお知らせもライン、メールなど複数用意しました。
年配の会員さんと若いスタッフのコミュニケーションにもつながると思い、「デジタルでの登録が難しい場合、まず身近なご家族や職場のスタッフさんなどにご相談ください」とご提案したのですが、それもあってスムーズに運用されているようです。役割分担をしっかりすることと、情報の共有化が一番大切だと考えています。
今後の課題として商店会存続の問題にも向き合っていかないといけないと思っています。これまで曖昧だった商店会入会に関しては、役員を兼ねてくださっている地域の不動産屋さんと連携して入会の案内をしていただくようにしました。商店会は地域の安全安心が軸にありますので、会として防犯カメラや、増やせるのであれば街路灯も増やすなど前向きに取り組んでいきたいと思っています。その観点からも商店会が存続する意味は大きいです。
−吉祥寺秋まつりも目前ですね。
やはりお祭の存在は大きいですね。お祭をきっかけに「あの時はどーも!」と街での日常生活の挨拶が変わったり、片付け中に「今日は○○で飲んでいますから、よかったら来てください!」なんて言葉をかわしたり、交流が深まります。職場と住まいが同じ建物だった昔とは時代が変わり、働き方なども違うので、お祭自体を執り行うのはなかなか大変ですが、行事だけは守ろうという思いがあります。
祭礼委員を務める地域団体「吉南」で結成した鹿車(ろくしゃ)という神輿同好会にも参加しているのですが、お祭の運営の勉強のため、上野や浅草、新宿などのほかの街のお祭にも行って神輿を担いでいます。鹿車の役員の方々がそうしたお付き合いをしてきてくださったおかげで、実際に半纏に着替え、地域の人たちと一緒に担いでコースを回る中で、街の個性を見たり、質問したりすることができます。そうした経験もあって、地元の方からお祭に関してどういったことをすればいいか聞かれた時など、さまざまな例を伝えることができるようになりました。
−この先に向けて、抱負をお聞かせください。
将来的には末広通りで土日の歩行者天国をやりたいですね。塾もあって、子どもたちも行列して歩いています。実績を重ねていかなければ難しいですが、どうしたら実現できるか、いろいろとアイディアはメモしています。
どう商店街を盛り上げていくのかは、会員の皆さんが事業をされていて、アイディアもさまざまに持たれていると思うので、広くいただきたいと思っています。商店会長という「係」として、そうした旗振りをしていければと思っています。
もう一つ、大家さん(オーナー)とテナントさん、それぞれ商店会の会員なのですが、オーナー会員はオーナー会員にしかできない活躍をしていただけたらと思っています。例えばビルオーナー同士が情報交換をして、自社のビルのテナントに向けて「商店会に入ろうよキャンペーン」を展開するとか。自分自身も店の経営者というポジションにいて、テナントの気持ちもすごくわかるので、そういう立場にいる会長として、自分にしかできないような舵取りをしていきたいと思っています。なるべく多くの人に共感してもらえたらいいですね。
消防団活動においては使命感で動いているものですが、街や地域のためというよりも、家族の生命財産を守るという気持ちから。その思いがあれば誰でもできるし、ただそれをあたりまえにやっているだけです。店のスタッフががんばってくれているからできているんです。最近は、うちの店のスタッフやアルバイトの子もお祭になると「手伝いたいです」と言ってくれます。準備や片付けをきちんと行う上であの楽しさがあることを知ってしまったら、やらずにはいられないみたいです(笑)。そう思うとお祭という行事はやっぱりコミュニケーションの要ですね。
(取材日 2023年8月29日)
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吉南商店会
会長 永井康介さん