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木谷真貴さん(吉祥寺図書館)×徳永健さん(『吉祥寺かるた』)
クロストーク

2021年2月28日、吉祥寺図書館で「『吉祥寺かるた』誕生秘話と、かるたの魔法について」と題したイベントが開催されました。当日は参加者が「吉祥寺図書館」をテーマにしたかるたの読み札も考えたとのこと!吉祥寺図書館館長の木谷真貴さん、『吉祥寺かるた』を企画制作された徳永健さんのお二人にイベントを振り返りながら対談していただきました。

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吉祥寺の名所や名物、「吉祥寺あるある」などをユニークなフレーズで46枚の札に綴った「吉祥寺かるた」。2019年12月に制作、イラストはスタッフでイラストレーターのきょしょうさん

木谷さん 吉祥寺の魅力を発信する「『まち』の図書館」として、街を多角的に捉えている「吉祥寺かるた」に触れるイベントができたらと考え企画しました。イベントに先立って『吉祥寺かるた』を3組所蔵し、読み札と絵札も展示したのですが、貸し出し用のかるたに予約がどんどん入って驚きました!

徳永さん 図書館の「郷土資料コーナー」に並んでいるのを見て感動しました(笑)。『吉祥寺かるた』はSNSなどを活用したこともあって、予想以上にたくさんの読み札が集まったのですが「吉祥寺は人気のある街だからできた」「ほかの街やモノには汎用的でないのでは」という声もあったんです。だから、イベント後半に行った「吉祥寺図書館」をテーマにしたかるた作りは、はたして読み札が集まるのか、僕自身の「かるたの札を考える」=「愛のあるコミュニティーが生まれる」という仮説を立証する実験でもありました。

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イベント当日の様子

木谷さん 図書館を見て回るなどして自由に読み札を考えてもらいましたが、本当に皆さんどんどんアイディアが湧いてくるようでした。参加者の中には小さいお子さんも数人いましたけれど、子どもも大人も本当に楽しそうに取り組まれていて、図書館が題材でこんなに盛り上がるというのは驚きでした。私たち職員が普段あまり意識していないようなものも出てきて、作る人の気づきやこだわりのようなものに触れることができて楽しかったです。

徳永さん 図書館にまつわる個人的なエピソードなども次々に出てきて、またそれに共感する札が広がり、僕にとっても仮説が実証されたような非常に感動的な場となりました。読み札は短い文章で良いですし、1枚きりだと何かきちんとしたことを書こうとするかもしれませんが、46枚あるとちょっと気軽に好きなことを書いてみようと思える。吉祥寺図書館に対する皆さんの思いも、かるたが間にあったことでぐっと表現しやすくなったのかもしれません。

まちとつながる図書館、まちと人をつなげる『吉祥寺かるた』

木谷さん 図書館がイベントを行う際、そのほとんどは「場」の提供です。映画会や人形劇を皆さんが楽しんでくださる様子は、私たちにとって喜びでもありますが、今回は参加者が「図書館」そのもののことを一生懸命に考え読み札を作ってくださいました。そういう意味では今までにない企画だったと思いますし、表現いただいたものをとてもうれしく受け取りました。徳永さんが「読む札を作ろうとする時、対象との間にコミュニケーションが生まれる」とかるたの持つ力について話してくださいましたが、まさにイベントのタイトル通り、かるたの「魔法」を目にしたんですね。

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採用されなかった幻の札や、制作の裏話を紹介する徳永さん

徳永さん それはうれしいです。かるた作りを通して吉祥寺図書館に思いを馳せた時間があったことで、図書館の姿がくっきりしたようなところもありましたし、予想以上に一体感も生まれ、「みんなで同じものを見つめている」という愛のある空間になったと思います。

木谷さん 「商業」は吉祥寺のまちが持つ大きな魅力の一つですが、公共図書館としてはあまり密着できない部分もあります。『吉祥寺かるた』は「商品」でもありますが、イベントでは吉祥寺の“街の魅力を発信するコンテンツ”として、その本質部分をテーマにお話いただきました。その点では題材としての新しさもありましたし、こうしたイベントができて良かったと思います。

徳永さん それぞれに個性のある商業施設とはまた違って、公共図書館はどんな世界観でも受け入れる、透明な箱のようなイメージがあります。『吉祥寺かるた』は札を一緒に「作る」点ではコミュニケーションツールになるし、みんなで遊べば「場」も作り出す。公共施設、商業施設、さまざまな場と場をつなぐプラットフォームとして使えるのかもしれないと改めて思いました。
何かもっと吉祥寺の街と関われたらと制作した『吉祥寺かるた』ですが、「場の熱量をあげていきたい」という「場づくり」への思いもありました。摩擦熱が起こるような距離感というか、面白い人が集まって面白いことをやっているところには引力が生まれて、またそこに人が集まってくる。その街にしかない面白い場所があったら、そこへわざわざ足を運ぶのではないかと思ったのです。『吉祥寺かるた』だけでそこまでのものになるとは当初は思っていなかったんですけど。

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「吉祥寺図書館」をテーマに作った読み札がずらり

吉祥寺図書館では6月3日から7月6日まで、
イベント当日に作られたかるたの読み札の展示も予定


木谷さん 参加した方も思い出して来てくださったら嬉しいですし、そこでまた読み札を募集できたらいいなと思っています。今後「『吉祥寺かるた』大会」もできたらいいですね。図書館としては、かるたを通じて言葉に親しむきっかけにもなると思います。みんなが一緒に考えられるようなワークショップの場が生まれるということを今回のイベントで実感できたので、地域の人が集えるような場、媒体として図書館を使っていただける機会をこれからも作っていけたらと思います。

徳永さん 『吉祥寺かるた』からさまざまな場が生まれていく経験を元に、Facebook上で「吉祥寺同好会」という活動を始めました。参加するみんなが「吉祥寺をもっと遊ぼう」といろいろアイディアを発明できるような「場」になれればと思っています。それからほかの街のかるたも作りたいですね。『吉祥寺かるた』にかるた兄弟ができたら、交換カルタ大会もできると思うんです。雑誌で見るより生っぽく伝わるのではないかと思うし、かるたで遊ぶうちに、互いの街へ行きたくなるはず。吉祥寺「イーストサイド」かるたもみんなで作ったらめちゃくちゃ面白そうですね。
(取材日 2021年4月28日)

 

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株式会社クラウドボックス代表取締役

徳永 健 さん
吉祥寺のデザイン会社 株式会社クラウドボックス代表取締役。クリエイティブ・ディレクター、ご当地かるたプロデューサー。2019年、吉祥寺に事務所を構えて10年を迎えたのを機に吉祥寺への恩返しの気持ちも込めて、ご当地かるた『吉祥寺かるた』を制作。

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PLOFILE:
公益財団法人武蔵野生涯学習振興事業団 「吉祥寺図書館」館長

木谷 真貴 さん

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